こきあブログ

冬眠したいアラフォー主婦のちょこちょこ雑記

「聞」と「耳」~その(2)~

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長女がふと漏らした一言。

「漢字の『聞く』の中の『耳』の部分って、『耳』じゃないって知ってた?」

から始まった、

 

「耳」は5画目の上に上げて書くところの右端は、

6画目の縦棒より右に出ているのに、

「聞く」の「聞」は、13画目の上に上げて書くところの右端は、

14画目の縦棒より右には出ていない問題。

 

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「『聞く』の『聞』の13画目の上に上げて書くところの右端が

14画目の縦棒より右に出ていたら、テストで✕にする」という

小学校の先生の一言に、理屈っぽい母が本気になり、色々と調べ始めて、

書体のデザインの問題であってどっちでもいいと書かれているブログ等を見つけた、

というのが前回のブログ記事でした。

 

前回の記事はこちらからどうぞ⇒

kochia-tohminneko.hatenablog.com

 

困った時のGoogle先生

ということで、Google先生の検索結果に従って色々見ていくと。

 

漢字は、文化庁発表の「常用漢字表」にのっとっているらしい。

⼀般の社会⽣活において,現代の国語を書き表す場合の漢字使⽤の⽬安を⽰すもの

が「常用漢字表」なんだそうな。

 

で、その「常用漢字表」には。

常用漢字表では,個々の漢字の字体(文字の骨組み)を,明朝体のうちの一種を例に
用いて示した。現在,一般に使用されている明朝体の各種書体には,同じ字でありなが
ら,微細なところで形の相違の見られるものがある。しかし,各種の明朝体を検討して
みると,それらの相違はいずれも書体設計上の表現の差,すなわちデザインの違いに属
する事柄であって,字体の違いではないと考えられるものである。つまり,それらの相
違は,字体の上からは全く問題にする必要のないものである。

 

ふむふむ。やっぱり、字体のデザインの差という訳ですね。

 

プラス、「明朝体と筆写の楷書との関係について」として、

 

常用漢字表では,個々の漢字の字体(文字の骨組み)を,明朝体のうちの一種を例に
用いて示した。このことは,これによって筆写の楷書における書き方の習慣を改めよう
とするものではない。字体としては同じであっても,1,2に示すように明朝体の字形
と筆写の楷書の字形との間には,いろいろな点で違いがある。それらは,印刷文字と手
書き文字におけるそれぞれの習慣の相違に基づく表現の差と見るべきものである。
 さらに,印刷文字と手書き文字におけるそれぞれの習慣の相違に基づく表現の差は,
3に示すように,字体(文字の骨組み)の違いに及ぶ場合もある。
以下に,分類して,それぞれの例を示す。

 

つまり、「常用漢字表」で示した明朝体の字と、

実際に、手書きで楷書で漢字を書いた場合に習慣として現れる表現には違いがあって、

それは、印刷文字と手書き文字の表現の差と見るべきだという訳ですね。

 

こうして、色々な例が挙げられているんですが、

例えば、

「北」の3画目、4画目が印刷文字では突き出ないけれど、

手書きでは突き出るとか、

「外」の5画目が印刷文字では突き出るけれど、

手書きでは突き出ても突き出なくても可とか、

突き出る、突き出ないの表現の揺れも、例として挙がっています。

 

うん。やっぱり、どっちでもいいんじゃないのよ。

 

さらに、色々見ていくと。

Yahoo!JAPAN 知恵袋で解説してくださっている人がいる!

(気になる方は、調べてみてくださいね)

その方は、漢字辞典の出版社の担当者とか、文化庁の担当官とかとも

電話して話してる。。。

私以上のすごい執念深さ!(褒め言葉です)

何事も「先達はあらまほしきことなり」(2回目)

その執念深さからの結論も、「どっちでもいいんです」とのこと。

 

その方が、「文部科学省の学習指導要領の解説書『国語編』では、この問題について書かれているそうです」と書かれていて、

ヒントをいただいたので私も見てみました。(←私も大概ですな)

 

「学習指導要領」には、漢字の表記について、次のように書かれていました。

 

漢字の指導の際には,学習指導要領の「学年別漢字配当表」に示された漢字の
字体を元に指導することを示している。「常用漢字表」(平成 22 年内閣告示)の
「前書き」及び「常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)」(平成 28 年2月
29 日文化審議会国語分科会)においては,以下のような考え方が示されている。
・字体は骨組みであるため,ある一つの字体も,実際に書かれて具体的な字形
となってあらわれたときには,その形は一定ではない。同じ文字として認識
される範囲で,無数の形状を持ち得ることになる。
 児童の書く文字を評価する場合には,こうした考え方を参考にして,正しい字
体であることを前提とした上で,柔軟に評価することが望ましい。
 一方,漢字の学習と書写の学習とを考えたとき,文字を書く能力を学習や生活
に役立てるために,文字を正しく整えて書くことができるよう,指導の場面や状
況に応じて一定の字形を元に学習や評価が行われる場合もある。指導に当たって
は,字体についての考え方を十分理解した上で,生涯にわたる漢字学習の基礎を
培うとともに,将来の社会生活において漢字を円滑に運用できる能力を身に付け
ていくことができるよう配慮することが重要である。

 

うむ。

印刷文字の漢字を元に指導するけれども、手書き文字になった場合は無数の形状になるので、字体についての考え方を十分理解した上で、柔軟に評価しましょうね。

ただし、文字を正しく整えて書くことができるように、指導しましょうね。

ということね。

先生、大変だ。。。文部科学省からある程度の裁量を任されちゃっている訳だ。。。

 

ということで、長々と根拠を挙げてきましたが。

結論。

理論上は「どっちでもいい」になりますね。

 

しかし、こういう諸々のベースを理解せず、

「突き出ていると✕」だとか、「突き出ていないと✕」だとか、

ぐちゃぐちゃ言ってくる輩がいて、

それで、テストや受験で✕になるのはもったいないよね、

なので、明朝体の印刷文字にできるだけ寄せておいた方が身のためだよね

ということなのでしょう。

 

やみくもに、「こうなんだ!!」と言われると、「ほんとにそうなのかぁ~!?」と

思ってしまいますが、

背景を理解した上で「しゃあないから、そうしておいてあげるか」と思うと、

なんか納得感が出てくる私(性格悪っ。。。(笑))。

 

あ、ちなみにですね~。

「聞」の部首は「門」(門構え)じゃないそうです。

「耳」なんだそうですよ。

これまた、「耳」なのに「耳」じゃない、っていう奇怪なお話ですね。。。

 

皆さんも、これで納得できれば幸いです。。。